上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
これでもか第五幕!
「かっわぃ~~~」
全てをぶち壊す歓声と共に勇ごと保健室のベッドに身投げするイーズ
そのまま勇に覆いかぶさりかけるイーズを真理と香奈とが実力で引っぺがしたのは
たっぷり1分後だったが
そのあとも
引っぺがしたら、引っぺがしたで
しばらくの間、イーズは笑い転げていて
今度は、そちらのほうが、役に立ちそうになかった
「イーズ様」
「イーズせんせー」
「イーズせんせぃ?」
「あは、あっはは、あはっはっはは、はぁはぁ苦しい
も~、勇さんたら~
皆さんもですよ~~、真剣な顔しちゃって~~」
「で、でもでもでも」
「ふふん、勇さん、何かいけないことをしましたか~?」
「淫怪人様をっ、それに、淫隷人の人たちも何人も」
「い~のよ~~」
「で、でも、イーズ先生」
「勇さんが、ここで、同じことをしたなら
それは、いけないことですね~~」
「は、ぃ」
「でも、勇さんはそんなことしますか~~?」
ぶんぶんぶんっとかぶりをふる勇
「勇さんが、お外で、ここの中のことを思い出さないのはね、ちゃんと意味があるの~
そういう風にしてあげてるの~
だ、か、ら
勇さんは、気にしなくていいの~~」
「い、いいんですか?」
「もちろんよ~
外でも、ここと同じで居て欲しい、『学園の貴女』のままで居て欲しい
わたしや、『あの方』がそう思ったら、あなたたちがどう思おうと
そうしてあげるし~」
「でも、でもっ」
もうひとつ勇にはまだ、拭いきれないものがある
「淫隷人の人たちは、人間ですよね、わたし、人間を、この手で…」
ひどく重いものがそこにある
「違うわよ?」
あっさり言い切るイーズ
「へ?」
「勇さんたち学生さんは、どこまで行ってもただの人間、う~~ん、そうねぇ、少々違うことにしちゃうかもぉ、あは
だけど、少なくとも、学園に居る間、完全に人間で無くすることはしてあげないの~
残念ね?うっふふ」
「?」
話の行方を掴みかねる勇
「完全に淫隷人にしてあげたら、人間なんて超えちゃって、くすっ、わたしたちに近くなれるのぉ
それに、一度なったら、もう二度と人間になんて戻れはしないんだからぁ
いーでしょ~
でも、あなたたちはそこまで成長してないわねぇ
百合子先生はね
わたしが選んだのよ~
大人の百合子を
立派な教師としての百合子を
わたしだけのために心も、身体も、み~んな捧げて欲しかったからぁ」
突然の成り行きに頬を肌を羞恥に染め上げる百合子
「は、はい、憧れます、百合子先生が羨ましいです」
こくこくこくと頷く勇、香奈も真理も百合子の身の上に憧れの視線を送る
「羨ましいかな~?」
「はぃっ、もう外であんなことになりたくないです、すぐ、今すぐに淫隷人にして下さいっ、奴隷になってお仕えしたいです
イーズ先生の淫隷人になりたいけど、それが無理なら
ダーククロスにお仕えする、どなたのものでもかまいません、淫隷人が無理なら、奴隷だって」
同様に頷く、香奈と真理
ぴん
勇の額が軽くイーズの指ではじかれる
「あぅ」
「も~かわいいな、キスしちゃおうかな…こほん、だめよぅ、勇さん、背伸びはだ~め」
さくさくざくり、突き刺さる熱線が、あるいは視線の氷の刃が再びイーズに突き刺さっているが
余裕綽々イーズは続ける
「脱線しかけちゃったけど、残念ねぇ、人間の分際で、淫怪人はおろか、淫隷人だって
ふふん、同類だと思っちゃや~よ
だから、貴女は、人殺しなんてしてないわよぅ」
「でも、それでも、憧れの存在なのに…」
「あらら~そんな程度の半端ものが?」
「へ?」
「ただの人間だった勇さんに邪魔された淫隷人とも言えないような愚か者が憧れ?
それとも
なんだっけ、『ライブスーツ』だっけか?
そんなものの力を借りてやっとこ刃向かえる人間風情に倒された
下っ端淫怪人が憧れですかぁ?
ん、赤羽 勇さん~~?」
ぐぎり
誰もが忘れていそうだが
イーズが覆うこの場の力の大きさが
この場を覆いつくせるイーズの力そのものが
一瞬だけ、勇たちの前を、そろり、通り過ぎて消える
「馬鹿に…しないでね?」
にこにこにこと笑うイーズ
「ひっ、ご、ごごご、御免なさいっ」
うんうんうんと頷くとイーズは勇の髪をくしゃくしゃといじる
「素直でよろしぃ~
ということで、外でも、もちろんこの中でも
勇さんは気に病むことはないの~~~
むしろ
良くやったって、『あの方』ならば、仰るかも~」
「えぇぇぇ」
「さっきも言った見たく、その程度の、淫隷人も、もちろん、淫怪人も、ダーククロスには無用よ~
いらないわぁ~」
むふふふふんとウインクをよこすイーズ
「うちは、ね?
くすっ
非情な組織なの~~」
説得力に欠ける気がするのは気のせいではあるまい
「じゃ、じゃぁじゃぁ
先生、私、ここに居ていいのっ?」
「もっちろ~ん」
くしゃくしゃくしゃが大きくなった気がする
「ここに居る、『学園の貴女』が、学園の中で、友人や、百合子先生や、わたしにね~
『あの方』のご命令とかなら別として
理由も無しに、刃を向けるなら、勇さん、貴女は、立派な人殺しで同類殺し
私は、要らないけれど、そういうのが好きだって淫怪人も居なくはないから
まぁ、それもいいかもだけどぉ
こほん
そんな「人」は、ここにはだぁれも居ないわよ
先生はそう信じてる、何かあったとしても、まずは、理由のほうを聞きますよ~
もちろん、うふん、わたしの選んだ百合子もね~~」
「こほん」
「あらら~、もう可愛いな百合子、こほん百合子せんせ…
はいはい、淵根先生もね~
じゃ、わかりましたか~
外の勇さんは勇さんで
ここでの勇さんは勇さんで信じることをすればいいの~」
「…はいっ」
うんうんうんと頷くイーズ
だが、それならそれで勇はもうひとつしなければならないことをしようとする
「じゃ、じゃぁ、ご報告します、恵ちゃんを匿った場所は…もごっ」
イーズの指が勇の口をふさぐ
「言わなくていーの」
「じゃ、じゃ、えと、恵ちゃんが教えてくれたエンジェルブレスのエネルギーの秘密…もがっ」
「もう、あんまり言ってると、キスで止めたくなっちゃうな~」
「せんせぃ?」
「せんせ~~!!」
「あっはははははは、お~こわい」
「で、も、せめて…」
「気にしないでいいの、そんな裏切りもののようなことをさせたら
勇さんが美味しく…こほん、素直な子でなくなりますね
学生らしく、これが私が勇さんに望むこと
ええ、『あの方』もきっとそれをお望みですよ?」
「そ、そうでしょうか」
「保証するわ、どうせたいした技術がないのは、先生、知ってるし、それとも先生が信じられませんか~~」
じっと勇の顔を覗き込むイーズ
そこに何を感じたのか
それとも、それは勇の性格か
ふるふるるんと勇のかぶりが振られる
「うん、わかればよろしい」
「むふふふふふふふふっ、さぁっ百合子~~あ、いけない百合子先生~~」
「はっはい」
イーズの眼鏡がきらりと光った気がするが
これはイーズの好きなお遊び、演出というやつかもしれない
「忙しくなるわよ~~~」
「は?」
「くふっふ、い~の、ともかくっ
勇さん、真理さん、香奈さん
勇さんのことは、まったく問題ありませんよ~
皆さんが心配するといけないから、このあと、『ご報告』はします
筋はきちんと通しておきますよ~~
でも、オッケ、信じなさい~」
百合子の右手をイーズはぐいとつかむと
「さっ、淵根先生、参りましょ、あ、皆さんは、午前中、勇さんを落ち着かせてあげてね~
ん?自習室使う~?」
「なっ」
「先生ー」
「…いいんですか?」
「あっはっは、ま、贔屓はよくないしね、ここにいらっしゃい、では先生たちは色々あるから、これで、ね
でも何かあったら、理事長室か、教員室にいらっしゃいね~」
言い置くと百合子を伴って保健室をあとにする
かつこつかつり、かつこつかつり
二人のヒールが廊下を鳴らす
「百合子」
「はぃ、イーズ、様」
「うんうん、いいこと、わたしはここを守るわよ」
「はいっ」
「このまま、生徒たちに波紋も広げさせません」
「はいっ」
「百合子が淫語を進めてくれていて良かったわ、全員Ⅱまで進んでいるし
もう少しだけ、皆さんを、外と適合出来やすいように、調整してあげるから」
「はいっ」
「気持の切り替えも、きっちりできるように、しましょう」
「はいっ」
「それが終わったら、可愛い百合子を…」
「こほん」
「硬いなぁ、もう~~」
などといいながら、どうやら、まだあるその先を、百合子に説明しているようだった
To Be Continued …